2011年11月01日

インプットあれこれ


久正人/「エリア51」二巻
ここ数年で1番オススメする漫画家、久正人の最新刊。
アメリカの何処かに存在する51番目の州、通称「エリア51」。そこは存在しないはずの存在、妖怪、UMA、エイリアン、、、を人間界から隠蔽するための隔離区域。そんな「ありえない」街を舞台に、女探偵(人間)と助手(河童)と◯◯(ナイショ)の「ありえない」大立ち回りを描くノンストップ・アンアイデンティファイト・ノワール・アクション(なんのこっちゃ)!!
画やカッコいいセリフ回しなど、アメコミ調が苦手だと読みにくいかも知れないが、その実キャラクター造形やストーリーはスゴくクール・ジャパン。心憎いオマージュに愛を感じ、スピーディーな映画的活劇に心躍らせ、そのうえで一工夫凝らした演出、漫画技法の新しいアイディア。
面白い漫画が読みたいなら、是非。

「世界侵略:ロサンゼルス決戦」
退屈。
フェイク・ドキュメント的導入も、FPS(ファースト・パーソンズ・シューティング)カメラワークも、9.11後のアメリカの不安も、全てに既視感、そして薄味。
ついでにキャラクター造形も紋切型でドラマとして観る部分もない、展開もイベントは多いがワンパターン。
だったらせめて媚ろよ、と。巨大ロボとかパワードスーツとか出せよ、と言いたい。歩兵と無人機じゃ俺の心に火はつかない。圧倒的な戦力差、「あー人間滅んだな」という絶望が足りないのだ。

「新・餓狼伝」巻之二
強くなりたい。
アキレス腱断裂の描写書かせたらおそらくNo.1の、夢枕獏を久々に読む。
グレート巽VS堤城平という、ファン垂涎のカードが実現。こういうプロレス脳を刺激する読み方が出来るのが、本当に面白いバトルものなんだと実感。
また、今回語られる北辰館(作中に登場する空手の流派)の修行理論がとても印象的。「日常の歩幅のまま狂気に踏み入る」、なるほどな、と思った。

「牧神の午後」
追悼、北杜夫。
なんか世の中的な扱いが小さすぎる気がしてならないのだが、俺にとっては実家の本を片端から漁り始めた中学の頃読んだそう意味では思い入れのある作家で。そのあとは全然触れない時期が続いたのだけど、訃報を機に読み返している。「どくとるマンボウ」のユーモアもいいけども、俺は鬱期の小説の、デリケートな描写が好きだ。
いろんなひとが、しんでしまうなあ。
posted by 淺越岳人 at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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